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March 04, 2006

「イノセント・ボイス」 12歳の戦場

☆☆☆☆ 「男たちの大和」を見て、14、5歳で戦争に行ったのかあ、などと驚いている場合ではありません。12歳の戦士なのです。誘拐されて戦士にされるのです。それをしているのが政府なのです。実話なのです。世界では子どもたちが不条理に戦争に借り出されるなんてほとんど常識なのです。しかも、アメリカが火をつけておいて、犠牲者がそのアメリカに救われるという矛盾に満ちた構図。ベルギーが火をつけておいて、犠牲者はベルギーに救われるという「ホテル・ルワンダ」にそっくりです。一方で「ジャーヘッド」みたいに戦闘をしに来たのに戦闘させてもらえないという状況もあったりして、世界はいったいどうなっているのでしょう。「ジャーヘッド」なんて見ていて、好戦映画でもないのに、一人くらい殺させてやれよ、という思いにとらわれてしまいます。これじゃあ、「クラッシュ」みたいに他人が誰も信じられなくなってしまってもしょうがないですよね。アメリカが一番世界を信用していない、そんなアメリカだから信用されなくなって、またいっそう世界を信用しなくなるというアリ地獄みたいな話です。「ミュンヘン」も加えて、絶望的社会派映画群が今年になって大量に公開されていますが、その中で一番見てほしいのが「イノセント・ボイス」です。「大和」を除けば技巧をこらし映画としても立派なものばかりなのですが、その中で一番技巧が感じられないぶん素朴に世界の混沌を投げ出されたようで、衝撃このうえありません。とにかく、12歳で戦場を生き抜かなければならないのです。

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