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July 25, 2005

「運命じゃない人」 才能あふるる軽薄さ

☆☆☆

1枚の白黒の絵があります。
白い部分だけ見てると、グラスに見える。
黒い部分だけ見てると、向かい合った二人の人の横顔に見える。
そういう絵があります。
トリック・アートというのかな。
その、映画版という感じです。
白い部分だけ見てると、単なる恋愛映画。
黒い部分だけ見てると、お金を巡る単なるドタバタ。
ところが、その白い部分と黒い部分には境目があって、
これが白というか黒というか、見方によって
全然変わるから面白い。
世の中とはそういうもんで、同じ時間、同じ場所で同じことを
していても、見方によって全然違うもんだなあ。
そんなことを大笑いしながらしんみりと思ってしまう
不思議な映画なのですが、
それをわかりやすく、面白く見せる手腕はなかなかのものです。
わかりやすい、というのは世界的にわかりやすい、
面白い、というのは老若男女が面白い、
ということでカンヌで話題になったのも納得。
タクシーを追いかけて、追いかけて、追いかけて、
やっと追いついたあとの男の一言のおかしさ。
同じシーンを違ったアングルから見ただけでこんなにも
おかしいものかと感心するのは、ベッドの下からの足をとらえたアングル。
もう必見のシーン満載です。
脚本もうまいが、演出もまたうまい。
才能あふるる軽薄さ。
こんな面白い映画が都心の小さな映画館でしか
観られないなんて、日本の映画状況も情けないやら悲しいやら。
この監督、日本のビリー・ワイルダー(お熱いのがお好き!)に
なれるかもしれないというのに。
ひとりでも多くの人に観てほしい傑作コメディです。

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July 19, 2005

「宇宙戦争」「スターウォーズ3」「バットマンビギンズ」 だんご3兄弟 

☆☆

「一本の映画、一行で語る」というポリシーに反してまでひとくくりにしてしまいたい真夏の三本立て、だんご三兄弟。長男はスピルバーグ。長男だけにおっとりしていて、最初は面白くて一生懸命遊んでるんだけど、だんだん飽きてきて、なんでもいいからオチをつけて、もうあとは次男、三男に譲るよって感じ。次男はルーカス。長男と三男にはさまれてなんとか存在感を示そうとがんばった、がんばった。長男にも三男にも気を使ってしかも破綻を恐れず、結局自分の映画をつくりあげてしまった。偉い。そして三男はノーラン。長男、次男と年の離れた三男は、兄弟のいいところ、悪いところをじっくり観察しただけあって、一番そつがない。優等生。言い換えれば、一番普通の映画。この三兄弟、まあ、かしまし娘くらいは楽しめたかな。ちょっとした、真夏の夜の夢でした。

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