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May 28, 2005

「ミリオンダラー・ベイビー」 ボクサー・ドント・クライ 

☆☆

「ロッキー」とは言わないけれど、老トレーナーと
とうのたったボクシングガールのコンビが
強敵を倒してひしと抱き合う物語かと思って
観にいったらとんでもない間違いでした。
むしろ、「海を飛ぶ夢」に通じる話で、
「ミリオンダラー・ベイビー」がアカデミー賞で、
「海を飛ぶ夢」が外国語映画賞なんて、
最近のハリウッド人は、何か生死に興味が
出てきたのでしょうか。
やっぱり「アビエイター」のようなハッタリの
効いた映画のほうがアカデミー賞のようなお祭りには
ふさわしいような気がしますが、
このような映画が注目されるというのは
長引くイラクの混乱をはじめとした時代の気分が反映
されているのかもしれません。
ヒラリー・スワンクは「ボーイズ・ドント・クライ」に
続いて2度目の受賞ですが、
似たようなタイプの役でちょっとズルイ気が
したのは私だけでしょうか。

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May 23, 2005

「エレニの旅」 時間よとまれ、映画は美しい

☆☆☆☆

アンゲロプロスの映画というのは、ワンシーンが長すぎて、
観ている最中に一眠りして目を開けたら
まだ同じシーンだったという経験が何度もあるのですが、
今回は一人の女性に焦点をあてたせいか、
物語が大変わかりやすく、そのぶん、画面に目を
集中でき、めくるめく映像の魔術に酔うことができました。
洪水のシーンとか、ダンスのシーンとか、葬式のシーンとか、
むしろワンシーン、ワンシーン、
終わるのが惜しいと感じるほどでした。
時間をとめてこのまま永久に観ていたいような美しさ。
中でも、赤い糸の使い方なんて、しびれるほどの
クリエイティビティ。
いや、全篇が名場面という奇跡のような映画です。
これが三部作の第1作だと思うと、
すでに次作が待ち遠しくて、待ち遠しくて、、、。
こういう映画に出会えるから、
私たちは何十、何百という駄作があろうと
映画という世界に浸り続けるのです。

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May 15, 2005

「阿修羅城の瞳」 映画と演劇の違い

☆☆

映画に求められて、演劇に求められないものは何か。
それは、リアリティ。
演劇の場合、役者が舞台に立っているというだけでリアリティが
保障されるので、劇の構造自体にリアリティを
求められることはないけれど、
映画というのはフイルム上の虚構なので、
そこにリアリティを吹き込まないと、
観客に感動を与えられないという構造を持つように思います。
見得を切る、とか、決め台詞を言う、とかはどちらかと
いうと、演劇では高揚するものの、
映画でそれをやられると、かえって
映画的なリアリティがそぎ落とされる部分も出てきます。
その辺を追求しないと、
「オペラ座の怪人」といい、「阿修羅城の瞳」といい、
洋の東西を問わず、どうも演劇の匂いが消えない映画が
できてしまうということでしょう。
演劇を見る代わりに映画を見るというのであれば
それでいいかもしれませんが、
やはり、演劇は演劇、映画は映画であってほしいというのが
映画ファンのちょっと贅沢な期待なのです。
その点が惜しい気がしましたが、
宮沢りえは相変わらずすばらしく、
市川染五郎もまたよく、
役者陣にはとても満足しました。

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May 08, 2005

「交渉人 真下正義」 事件はどこで起きている?

☆☆

サブウェイ・パニックの話。
時期が時期だけに、複雑な気持ちにならざるを得ない。
それを差し引いても、
このシリーズはすべてがゲームの名のもとに
行われていて、
どうも釈然としない気分が残る。
「Ⅰ」で出てきた小泉今日子のような
キャラクターが不在なのが、一因。
他の映画からのいただきが多くて、
プラスアルファまでいくオリジナリティに欠けるのが、一因。
漫然と見るにはとてもおもしろい映画だとは思うけれど。

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May 07, 2005

「夜の河」 君は日本映画を見たか

☆☆☆

1956年吉村公三郎監督作品。
三百人劇場には、シニアの男女ばかり。
でもね、たまにはこういう映画を観てみるのも
いいと思います。
50年前にこんな官能的な色彩感覚の
日本映画があったという驚き。
「紅夢」とか「ラストエンペラー」を彷彿とさせるシーンが
1950年代の日本にあったとは!
そして、ラストシーンの切れのよさ。
昔の映画に学ぶことはあまりに多い。
最近の映画は何も学んでいないのでは
ないかとさえ思ってしまうのです。

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「コーラス」 予定調和のここちよさ

☆☆☆

まるで「ニュー・シネマ・パラダイス」の焼き直しかと
思われる出だしから、予定調和の話が進む。
悪ガキとはげた金パチみたいな先生と
コーラスと。三題話の結末は見えている。
ただ、確かにどこかで観たような展開だが、
それがかえってボーイソプラノ鑑賞のじゃまをしない
効果を果たす。
澄み切った歌にただ身をゆだねているような映画だ。

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