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April 22, 2005

「カナリア」 小鳥は飛べたのか

☆☆☆☆

「15分から開場します。チケットの番号順にご案内します」とか
言われて、受付付近で待ってたら、
15分しても何の案内もありません。
「まだですか」って聞いたら
「映画館は下の階ですよ」とか言われ、
あわてて行ったらもうみんな中に入ってるではありませんか。
渋谷の某映画館でのできごとです。
そんなことがあって、ケチがついた気分で観始めた
「カナリヤ」でしたが、これがなかなかの力作。
大人から捨てられた子供が主人公の
半ばドキュメンタリータッチな映画ということですぐに
「誰も知らない」を思い浮かべますが、甲乙つけがたい傑作。
主人公の男の子なんか、どちらの映画も立ち居振る舞いがそっくり。
大人なんかいなくたって子供は生きていくという姿勢もそっくり。
最後の髪の毛はちょっと理屈っぽくなっちゃったかなと思いますが、
「黄泉がえり」などという腑抜けた映画をつくった監督とは
思えない充実した出来栄えです。
小鳥が大きく空を飛んだ。そんな映画です。

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April 17, 2005

「海を飛ぶ夢」 アナザー「アザーズ」

☆☆☆☆

この監督のつくった「アザーズ」という映画は、
この世のものとは思われない二コール・キッドマンの
美しさばかりが目立って、謎が解けると、なんだ、
B級ホラーだったのね、という印象しか持たなかったのですが、
「海を飛ぶ夢」を観たあとで考えると、
あれはあれでひとつの生死観を提示した哲学的な映画だったとも
思えてくるから不思議です。
生きていたいのに死んでいくのと、
死にたいのに生かされているのと、
どちらが残酷なことなのか。
それは「アザーズ」ではなく自分で決めるということ。
それが人の尊厳であるということ。
簡単に答えの出せない問題です。
主人公の笑顔の理由がいつまでもいつまでも印象に残ります。

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「インファナルアフェアⅢ」 終極感無量

☆☆☆

シリーズ物映画というのは数限りなくあるけれど、
この「インファナルアフェア」はⅣでもⅤでも観たい誘惑にかられる。
ヤンとラウ、それにそれぞれの師匠のコンビが絶妙で、
まだまだいくらでもサイドストーリーができそうな気がするのだ。
シリーズの宿命で「Ⅰ」「Ⅱ」に比べ「Ⅲ」はどうしても話に無理が出てきて、
観ていてつらい部分もあるが、同じパート3で比べれば「ゴッドファーザーⅢ」
などよりはるかに出来が良い。
この先、伝説となる映画のひとつだ。

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April 10, 2005

「サイドウェイ」 映画のできもサイドウェイ

☆☆

苦手なんですよねえ、アメリカ版人情噺って。
「恋愛小説家」とかね。
それでも、「アバウト・シュミット」はまだ切羽詰ったところが
ありましたが、
この甘えんぼ中年種族はねえ。
こういうの見てると、
アメリカはいまイラクであんなことになってるのに
こんなことしてていいのかよ、とまで思ってしまう。
でも、アカデミー賞候補。
アメリカは広いなあ。

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April 08, 2005

「トニー滝谷」 君に読む物語、日本映画版

☆☆☆☆

映画で読む、短編小説。
村上春樹の原作は読んでいないけれど、
おそらく雰囲気は伝えているのではないか。
あるいは、テレビドラマの「優しい時間」に通じる気分が
流れている。静謐感。
宮沢りえがいい。「たそがれ清兵衛」といい、「父と暮せば」といい、
映画女優としかいいようがない雰囲気を身につけ始めた。
清楚でいて底知れぬ毒を持っていそうな。
貴乃花と別れたことで得た何かが今頃熟成してきた?
昔はたくさんいたのに、いまや映画女優と呼べる人は
皆無に近い中で、貴重な存在になってきた。

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April 02, 2005

「エターナル・サンシャイン」 記憶は消える。それでもまだ作る?

☆☆☆

この映画をつくった人たちはまだまだ青い。だって、大騒ぎしなくたって記憶はいつか消えるものなのです。一生懸命消そうとしたり、一生懸命守ったりしなくたって、いつか消えていくものなのです。そして、喜びも悲しみもすべてが懐かしい思い出になってしまうものなのです。初めての恋だけでなく、二度目の恋も同じこと。何度も大騒ぎしているうちにすべてが無に化す。それが人生。なんだかそんな気分に陥ってしまうラストです。ケント・ウィンスレット、初めてかわいいと思ったし、ジム・キャリー、初めてまじめと思ったし、つまらない映画では決してないけれど。

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